2018年 診療報酬改定 調剤報酬の変更点まとめ

2月7日に中医協が加藤厚労相大臣に答申したなかで、調剤報酬に係わる部分の変更点をまとめておきたいと思います。

尚、算定要件の詳細は3月上旬に公表される予定ですので、現時点で判明している内容のまとめとなります。


基本料・技術料の変更点


調剤基本料(いわゆる門前薬局の評価の見直し)

調剤基本料は基本料1、2、3のイ、3のロ、特別調剤基本料の5区分になります。

新区分は以下の通り


調剤基本料1 41点
調剤基本料2・3及び特別調剤基本料に該当しない薬局
医療資源の少ない地域の中で、医療提供体制が特に限定的な区域に所在する薬局(注1)
【調剤基本料 注1に規定する保険薬局】
次のすべてに該当する保険薬局であること。
(イ)「基本診療料の施設基準等」(平成 20年厚生労働省告示第 62 号)の別表第六の二に規定する地域に所在すること。
( ロ)当該保険薬局が所在する特定の区域内において、保険医療機関数(歯科医療を担当するものを除く。)の数が10以下であって、許可病床の数が200床以上の保険医療機関が存在しないこと。ただし、特定の保険医療機関に係る処方箋の調剤割合が7割を超える場合であって、当該保険医療機関が特定区域外に所在するものについては、当該保険医療機関を含むものとする。
( ハ)処方箋受付回数が一月に2500 回を超えないこと。




調剤基本料2 25点
①月4000回超・集中率70%超
②月2000回超・集中率85%超
③特定の医療機関に係わる処方箋受付回数が付4000回超(薬局と同一の建物内に複数医療機関が所在する場合はその合算)
新設】特定の医療機関に係わる処方箋受付回数が4000回超(同一グループの薬局で同一の主たる医療機関がある場合、該当する薬局の受付回数を合算する)
のいずれかに該当する場合


※③④についての解説
③医療ビル形式の場合、建物内の医療機関の受付回数を合算する
④○○病院の前にA薬局・B薬局が存在し、その二つが同一グループの場合、A薬局とB薬局の受付回数を合算する




調剤基本料3
(イ)同一グループの受付回数が月4万超~40万以下で、特定の医療機関の集中率が85%超または特定の医療機関と不動産の賃貸借契約関係がある場合 → 20点
(ロ)同一グループの受付回数が月40万超で、特定の医療機関の集中率が85%超または特定の医療機関と不動産の賃貸借契約関係がある場合 → 15点



特別調剤基本料 10点
調剤基本料注2に規定する保険薬局は注1本文の規定にかかわらず特別調剤基本料の10点となる。
基本的には敷地内薬局を対象にしている内容です。
【調剤基本料 注2に規定する保険薬局】
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
(1) 病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局であって、当該病院に係る処方箋による調剤の割合が9割5分を超えること。
(2) 調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局 




調剤基本料の減算について

調剤基本料 注3では所定点数の100分の50に減算する規定が設けられており、中身は「未妥結減算」と「かかりつけ機能未実施」による減算に分かれています。
【調剤基本料 注3に規定する保険薬局】
次のいずれかに該当する保険薬局であること
(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が5割以下であること。
(2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していない保険薬局であること。
(3) 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない保険薬局。ただし、処方箋の受付回数が1月に600回以下の保険薬局を除く。





後発医薬品調剤体制加算

後発医薬品体制加算は現在の2区分から3区分に増え、ハードルが上がっています。
また、今回より後発比率が2割以下の薬局は基本料が2点減算されるペナルティが課せられるようになります。


<現行>
後発医薬品調剤体制加算1 65%以上  18点
後発医薬品調剤体制加算2 75%以上  22点



<新制度>
後発医薬品調剤体制加算1 75%以上  18点
後発医薬品調剤体制加算2 80%以上  22点
後発医薬品調剤体制加算3 85%以上 26点

注) 後発医薬品の調剤に関して、別に厚生労働大臣が定める薬局において調剤した場合には、調剤基本料から2点を減算する。
ただし、処方箋の受付回数が1月に600回以下の保険薬局を除く
【減算対象となる薬局】
厚生労働大臣が定める保険薬局とは、次のいずれかに該当する保険薬局であること。
(1) 当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が2割以下であること。
ただし、当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ないものは除く。
(2) (1)に係る報告を地方厚生局長等に報告していない保険薬局であること。



【新設】地域支援体制加算 35点

調剤基本料の加算として多くの薬局が算定していた基準調剤加算が廃止となり、代わりに地域支援体制加算が新設されました。
算定のための施設基準は以下の通り

【地域支援体制加算の施設基準】

①地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。

具体的な実績の基準
1年間に常勤薬剤師一人当たり、以下のすべての実績を有すること。
①夜間・休日等の対応実績 400回
②重複投与・相互作用等防止加算等の実績 40回
③服用薬剤調整支援料の実績 1回
④単一建物診療患者が一人の場合の在宅薬剤管理の実績 12回
⑤服薬情報提供料の実績 60回
⑥麻薬指導管理加算の実績 10回
⑦かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回
⑧外来服薬支援料の実績 12回

②患者ごとに適切な薬学的管理を行い、かつ服薬指導を行っていること。
③患者の求めに応じて、投薬に係わる薬剤に関する情報を提供していること。
④一定時間以上開局していること。
⑤十分な数の医薬品を備蓄していること。
⑥適切な薬学管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係わる当該薬局の体制の情報を提供していること。
⑦当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
⑧当該地域において、在宅療養の支援に係わる診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
⑨当該薬局において、他の保険医療サービスおよび福祉サービスとの連携調整を担当するものとの連携体制が整備されていること。
⑩当該保険薬局以外の医療従事者に対し、医薬品に係わる医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。
⑪特定の保険医療機関に係わる処方箋の調剤の割合が85%を超える場合に当たっては、当該保険薬局において調剤した後発比率が50%以上であること。
⑫調剤基本料1を算定している保険薬局については下記の3つの基準を満たすこととし、①を適用しない。
a.麻薬小売業者の免許を受けていること。
b.在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
c.かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。

調剤基本料1が算定できる薬局は①が免除されるため、若干ハードルが下がりますが、チェーン薬局が算定するであろう調剤基本料2・3の場合は、①が必須のためかなりハードルが高い加算と言えます。



調剤料の変更点

現在提示されている点数変更は内服の調剤料のみです。変更箇所はいずれも減算されています。

14日以下
・1~7日(1日分につき)  5点 → 変更なし
・8~14日(1日分につき) 4点 → 変更なし
15~21日分  70 → 67点
22~30日分  80 → 78点
31日分以上  87 → 86点



無菌製剤処理加算

以下の通り点数が変更となります。()内は6歳未満の乳幼児に対する加算

①中心静脈栄養法輸液 65(130)点 → 67(137)点

②抗悪性腫瘍剤 75(140)点 → 77(145)点

③麻薬 65(130)点 → 67(135)点







薬学管理料の変更点


かかりつけ薬剤師の要件見直し

かかりつけ薬剤師の登録要件が変更となります。
①当該薬局に6か月以上在籍 ⇒ 1年以上在籍
②週32時間以上勤務 ⇒ 育児・介護休業法で定める期間は週24時間以上かつ週4日以上の勤務の場合を含む


薬剤服用歴管理指導料

手帳の算定率が50%を下回る場合の減算が新設されました。

【調剤基本料1を算定】
(1)原則6か月以内に処方箋を再度持参 38点 → 41点
(2)1の患者以外の患者に対して   50点 → 53点
(3)特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合 38点 → 41点
(4)手帳を持参していない患者 50点 → 53点

【調剤基本料1以外を算定している場合】
一律 50点 → 53点 


【新設:薬剤服用歴管理指導料の減算】
6か月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下の場合、薬剤服用歴管理指導料の特例として13点を算定する。
この点数を算定する場合は、麻薬管理指導加算、重複投与・相互作用防止加算、特定薬剤管理指導加算、乳幼児服薬指導加算は算定できない


その他の薬学管理料の変更点

①かかりつけ薬剤師指導料 70点 → 73点
 同包括管理料      270点 → 280点

②乳幼児服薬指導加算 10点 → 12点

③重複投与・相互作用防止加算 30点
 ⇒ 残薬調整の場合 30点
   残薬調整以外  40点

④服薬情報提供料 20点
 ⇒ 保険医療機関の求めによる提供 30点
   患者又は家族の求めによる提供 20点



【新設】服用薬剤調整支援料 125点

<算定要件>
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く)が処方されているものについて、処方医に対して保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。




在宅患者訪問薬剤管理指導料

現行は同一建物居住者300点、以外650点でしたが、介護保険と足並みを揃える形で以下のように変更になります。

単一建物診療患者が
1人     650点
2~9人  320点
10人以上 290点


【参考】2018年 居宅療養管理指導料の改定内容
<病院又は診療所の薬剤師>
単一建物居住者の人数
1人    ・・・ 558単位
2~9人  ・・・ 414単位
10人以上 ・・・ 378単位

<薬局の薬剤師>
単一建物居住者の人数
1人    ・・・ 507単位
2~9人  ・・・ 376単位
10人以上 ・・・ 344単位

<加算>
●特別地域加算:所定単位数の100分の15
●中山間地域等における小規模事業所加算:所定単位数の100分の10
●中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:所定単位数の100分の5


※以下のリンクで介護報酬改定の詳細が確認できます。
薬剤師の居宅療養管理指導料については PDFの31枚目(ページ27)に書かれています。

【リンク:厚生労働省】平成30年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案





窓際Pharmacistの独り言・・・
薬学管理料は全体的に上方修正されていますが、門前薬局・チェーン薬局に対する基本料の減算および基準加算の廃止から、薬科部門は厳しい改定となりそうですね。




【 P R 】

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