薬局間における薬の分譲についての法令改正まとめ

平成29年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通事案を受け、厚生労働省は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の施行規則の一部を改正する省令が平成29年10月5日に公布されました。
この法令は平成30年1月31日に施行(一部Lot・有効期限の明記は同年7月31日より)されていますので、詳細をまとめておきます。


■参考資料■




1.医薬品の譲受譲渡時の記録事項の追加

いわゆる薬局間の分譲販売・購入に関する規定の変更

【現行】
① 品名・数量
② 購入、譲受け又は販売、授与の年月日
③ 購入、譲受け又は販売、授与した者(以下「購入者等」という。)の氏名又は名称
【変更後】
① 品名・数量
ロット番号(ロットがない場合は製造番号又は製造記号)
使用期限
④ 購入、譲受け又は販売、授与の年月日
⑤ 購入者等の氏名又は名称
購入者等の住所・電話番号その他の連絡先
⑤⑥の事項を確認するために提示を受けた資料
医薬品の取引の任に当たる者が、購入者等と雇用関係にあること又は取引の指示 を受けたことを表す資料
注)・ ②③は医療用医薬品のみ(体外診断用医薬品を除く)
    ただし医療用医薬品以外についても記録することが望ましい。
  ・ ⑥⑦については購入者等が常時取引関係にある場合を除く。 
  ・ ⑦の資料とは、例えば許可証の写しなど。 
  ・ ⑧の資料とは、例えば社員証や運送会社等の配達伝票が考えられるが、名刺は該当しない。


■例:A薬局がB薬局に医薬品を分譲

【A薬局に必要な記録】
・①~⑥の記録
・B薬局許可証の写し
・B薬局譲受人の社員証の写し 

医薬品の分譲

【B薬局に必要な記録】
・①~⑥の記録
・A薬局許可証の写し
・A薬局譲渡人の社員証の写し





2.同一の薬局開設者及び店舗販売業者(以下「薬局開設者等」という)での店舗間における医薬品の移転に関する記録

いわゆる社内における店舗間移動の規定

① 品名・数量
② ロット番号(ない場合は製造番号又は製造記号)
③ 使用期限
④ 移転先及び移転元の場所
(店舗等の名称など、当該情報でその場所が特定できるもの)
⑤ 移転の年月日
注) ②③は医療用医薬品のみ(体外診断用医薬品を除く)
    ただし医療用医薬品以外についても記録することが望ましい。




3.医薬品の貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていること

当該区域へ立ち入ることができる者の範囲と立ち入る際の方法をあらかじめ定めておくこと。



4.分割販売する者の記録義務に係る規定の新設

薬局開設者等がその直接の容器又は直接の被包を開き、分割販売する場合について、通常の表示義務に加えて、当該分割販売を行う者(薬局開設者等)の氏名又は名称、分割販売を行う店舗の名称及び所在地を記載することを追加。



5.店舗の管理に関する帳簿の記載事項

在庫の異常に係る調査結果及び廃棄した医薬品に係る記録の追加



6.薬局開設者等の業務手順書に盛り込むべき事項

偽造医薬品の流通防止に向けた対策の観点から留意すべき事項は以下の通り。

① 医薬品の譲受時は、納品された製品が正しいこと、目視できるような損傷を受けていないことなどを確認すること。
② 偽造医薬品の混入や開封済みの医薬品の返品を防ぐための、返品の際の取扱い。
③ 貯蔵設備に立ち入ることができる者の範囲と立ち入る際の方法。
④ 医薬品の譲渡時は、全ての供給品において、「医薬品の譲受譲渡時の記録事項追加」の①~⑥に掲げる事項等(一般用医薬品等は同②③を除く)を記載した文書(例えば、納品書)を同封すること。
 ⑤ 製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)には、医薬品の容器等に、当該分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う店舗の名称及び所在 地を記載すること。
⑥ (薬局のみ)患者等に対して販売包装単位で調剤を行う場合には、調剤された薬剤が再度流通することがないよう、外観から調剤済みと分かるような措置を講じること。 ⑦ 偽造医薬品や品質に疑念のある医薬品を発見した際の具体的な手順(仕入れの経緯の確認、販売・輸送の中断、隔離、行政機関への報告等)。
⑧ その他、偽造医薬品の流通防止に向け、医薬品の取引状況の継続的な確認や自己点検の実施等。
 ⑨ 購入者等の適切性の確認や返品された医薬品の取扱いに係る最終的な判断等、管理者の責任において行う業務の範囲。




窓際Pharmacistの独り言・・・
薬局の業務手順書の更新も必要ですので、原案を後ほどアップします。





【 P R 】

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