透析患者の昇圧目的で処方されるドプスとリズミックの使い分けについてメモしておきます。
まずは、添付文章に書かれている中で、透析患者に関係する部分を抜粋してみました。
リズミック(一般名:アメジニウムメチル硫酸塩)
【用法・用量】
なお、年齢、症状により適宜増減する。
効果発現時間・・・健康成人で約2時間
表1:血漿中濃度(健康成人6例、空腹時10mg 1回投与)
Tmax(h) | Cmax(ng/mL) | t1/2β(h) |
2.7±0.4 | 25.3±1.4 | 13.6±2.5 |
表2:血漿中濃度〔透析患者5例、20mg 1回(承認範囲外用量)投与〕
測定日 | Tmax(h) | Cmax(ng/mL) | t1/2(h) |
非透析日 | 4.4±0.7 | 82.0±4.9 | 25.9±3.9 |
透析日 | 3.6±0.7 | 70.7±5.7 | 19.2±2.7 |
表3:腎機能障害患者における薬物動態(透析患者6例、10mg 1回投与)
投与後の時間 | 透析前 血漿中未変化体濃度(ng/mL) | 透析後 血漿中未変化体濃度(ng/mL) |
1h | 1.9±1.4 | 0.9±0.9 |
2h | 9.7±2.0 | 5.6±1.3 |
3h | 19.6±3.8 | 9.9±1.8 |
4h | 26.6±5.8 | 14.8±4.0 |
【作用機序】
ドロキシドパはノルアドレナリンの前駆物質であり、生体内に広く存在する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素により直接l-ノルアドレナリンに変換され、効果を発揮する。
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ドプス(一般名:ドロキシドパ)
【用法・用量】
・起立性低血圧を伴う血液透析患者における下記症状の改善
めまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感
通常成人に対し、ドロキシドパとして1回量200~400mgを透析開始30分から1時間前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。1回量は400mgを超えないこととする。
【使用上の注意】
血液透析患者への適用にあたっては、次の点に十分留意すること。
透析終了後の起立時に収縮期血圧が15mmHg以上低下する患者であること。なお、本薬の作用機序は不明であり、治療後の血圧低下の減少度は個体内変動を超えるものではない。
【薬物動態】
・血液透析患者に1回300mgを透析開始1時間前に経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与6時間後に最高値(1.43μg/mL)を示し、投与36時間後に定量限界以下(0.05μg/mL)となった。また、血漿中ノルアドレナリン濃度は投与3時間以降、投与前値に対し有意な高値を認め、以後投与6~36時間まで持続した。
【作用機序】
アメジニウムメチル硫酸塩は、ノルアドレナリンと競合して末梢の神経終末に取り込まれ、ノルアドレナリンの神経終末への再取り込みを抑制する。また、神経終末においてノルアドレナリンの不活性化を抑制し、交感神経機能を亢進させることで作用を示す。
この2剤を比較してみると、作用発現までの時間に大きな差があります。
リズミックは腎障害者の効果発現時間までは書いていませんが、Tmaxに大きな延長はありませんので、健康成人と同じく2時間程度で効果が発現すると考えられます。ですので透析中にも効果が期待できる薬剤といえます。
また、ドプスの添付文章にはTmaxが6時間と書かれていることから、透析中の効果はあまり期待できないことが考えられます。
このような特性の違いから・・・
リズミック・・・透析中の血圧低下予防
ドプス・・・透析後の起立性低血圧予防
と使い分けられているようです。
どちらを使うかは患者さんごとの特性によって変わりますね。
また、作用機序の違いから2剤を併用するケースなんかもあるようですが、併用することで過度の血圧上昇のリスクがあるため併用注意とされています。
ちなみに、昇圧剤として、リズミックとともに使われている「メトリジン(一般名:ミドドリン塩酸塩)」は、透析で除去されやすい薬剤のため、透析患者の昇圧に関する適応を持っていませんのでご注意を。
ただし、リズミックで心臓系の副作用が出てしまう場合はメトリジンを使用するケースもあるようです。
※メトリジンの効能・効果:本態性低血圧、起立性低血圧
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